先週、朝食の準備をしていたら家族から突然、少し遠方の陸上競技場に行こうと誘われた。
子供の学校から何名か陸上の地区大会に出るのでその応援だそうだ。
私の担当はビデオ係で、行くと返事したのは良いが、出発時間は?と聞くと一時間もない。
私の遠方への外出にはマイ食事の支度が必要だ。
急ぎ朝食を摂り片付けて、すでに炊いてある低たんぱくご飯で酢飯を作ったのだが、肝心の酢が10gほどしかなかった。
味のバランスを考え砂糖も塩も減らして作った酢飯をつまみ食いしたら、味にパンチ力がない。
具を選ぶ時間は無く冷蔵庫を覗くと奥に、いつの頃から棲みついていた賞味期限が過ぎていた低塩のわさびフリカケが有ったのでそれを酢飯にかけ、慌ただしく酢飯をラップに包み家を後にした。
電車とタクシーを乗り継ぎ1時間半かけてたどり着き、更に目当ての子の出番を30分程待って、やっと始まってみると競技時間は十数秒…短ければ短いほど良い結果なのだろうが…盛り上がった時間が短すぎる…観るために費やした時間や経費を、観た競技の十数秒で割ると、一秒あたりの時間も経費も、多分サッカーワールドカップロシア大会の観戦に行く以上に豪華だったろう。
d( ̄▽ ̄) アクマデモ コジンテキ カンソウデス
その豪華な短い競技をビデオに収めてさあ帰ろうとなったのだが、家族からこの近くに雰囲気の良い食事処が有るから寄ってみないかとの提案が有った。
まだ昼には時間は有ったが、どうせ帰宅途中で昼食の時間になってしまうので異議は無い。
家族がタクシーを呼び、山の中の食事処に無事にたどり着いたのだが降りるときに、タクシーの運転手が駐車場を見渡して「今日は混んでいますね、たぶん父の日だからでしょう」との一言。
そんな日とは知らなかった私は「えーっ混んでいるの?せっかく来たのに、来た日が悪かったかな」と言いつつタクシーから降りてその店の門構えをみて驚いた。
古いお寺のような、日本瓦で黒塗の門がド~ンと私を威圧。
「確かに雰囲気が良いね」と言ったものの…料金が高そうだ ;)
普段は、家族に楽しんでもらうためには外食をしても、私の満腹できる外食を期待することは(でき)ないので、私の為の外食には興味がない事を家族は十分知っている。
よって今回は食事の内容以上に、その雰囲気を味わえる場所を探しておき、陸上競技を餌に私を連れ出したようだ。
門をくぐり、木に囲まれた緩やかに曲がる幅の狭い坂道をあがると、目の前にはいくつもの大きな水車が水音を立てて回っており、和風の庭を眺めながら少し歩くとこれも和風の建物の中に食事処の受付が有った。
そこにはシェフの服装をした受付嬢が「今日はとても混んでいて、もう少し到着が遅れれば長い時間お待たせするところでした」と笑顔で迎えてくれた。
家族が昼食を急いだのはこのためだったようだ。
注文したのは炉端焼きのコース料理で、そのお値段の心配は私の取り越し苦労だった。
受付嬢が案内してくれた個室は、私も聞き覚えのある川の名が付いた農村の民家造り風だった。
案内をしてくれた彼女に「私用のご飯を持参してきたので、持ち込みとなりますが、それも食べてよいですか」と私が尋ねると、更に家族がその理由も説明してくれて、私だけではなく、これからも腎不全の人達へのご理解をと伝えた。
全席個室のために常識外の持ち込み(特に酒)が間々有るので、持ち込み料金はかなり高く設定しているとの話だったが、事前にその事情を聞いたのでもちろん問題ありませんと快く了承をしてくれた。
八名ほどは楽に座れると思われる席に今日は家族と二人なのでとてもゆったり気分。
座布団に座り、炉端の中で赤黒くおきている炭(すみ)の暖かみは、火鉢1個の部屋暖房で過ごした私の子供の頃を思い起こさせた。
最初の料理は豆腐の入った豆乳鍋、世間で知られたヘルシー料理(高蛋白低カロリー)なので私はそれを味見程度とし、野菜サラダや暖かい蒟蒻を頂いていたら、次の料理が届いたと小鳥の声が知らせてくれた。
料理や食材は個室の脇を流れる水路を船に乗って流れてくるので、窓の引き戸を開けて止まっている船の上からその食材をとるようになっていて、知らなかった私はびっくり。
コース料理のメインは自分たちが炉端で焼いて食べるのだが、当然私の楽しみはもっぱら野菜焼なので、受付での注文時に、私のコースだけは肉を減らしシイタケとピーマンに変更してもらってある。
ピーマンはワタを取らず、種ごと丸のまま焼いて食するのだが、家庭で食べているピーマンと何が違うのかわからないがとても旨いと感じた。
シイタケは見るからに肉厚でしっかりした食感、傘の部分が美味しいのは当然だが、茎のふくよかな味は素晴らしかった。
それ用のタレはいつもの通り、私の持って行った低塩醤油と砂糖と、店のトウガラシを適当量混ぜて作った。
(もし店に大根、生姜、ニンニク等のおろしのいずれかが有れば、それを混ぜるとつけダレの味はプロ級…になるかならないかはあなた次第だ。)
食べた量(重さ)はしっかり計りメモを取るのだが、さすがに蒟蒻を精密計りで計測しようとしたら、家族から「それくらいはテキトーでいいんじゃなあい?」とクレームが入った…ごもっともです…それでもこそこそ計る私は病気?
野菜を食べ終えた後の楽しみ、この店ウリの串にささった皮付きの鶏肉をしっかり焼いて二本食べる予定だったが、その一本の量は私にとって巨大だったので一本を家族の野菜とトレードした。
焼けてくると食欲そそる良い香り~…なのだが、鳥の油が炭にポタポタ落ちて煙となってしまっている。
あ~っ、私のカロリー源が~、普通食では蛋白制限が先に来て、カロリー量は私にとって不足になりがちなのだ。
〆は家族にはざるに乗った蕎麦、私にはうどんがそれぞれ船に乗ってきたが、当然これも味見程度で家族に任せ、持参の酢飯(旨かった)を焼けたジューシーな鶏肉とともに食べた。
食後、庭で記念写真を何枚か撮ったが、日本での初期の洋風館のような建物もあり不思議な雰囲気の食事処だった。
帰宅し、摂取成分の計算をすると覚悟をしていたものの、夕食で食べられる肉はたった15gとなってしまった。
肉と比較し、鳥の皮なら蛋白も少なくボリュームもカロリーも増やせるので、今度は皮の脂を野菜とともに炒めてもらったのだが、出てきた炒め物の中に何故か鶏肉のおまけがついていた。
普通なら家族に行くのだか、一日くらいはと言い訳し頂きましたがその日摂取した蛋白量は制限値30gの6g超えとなった。
それは多い?少ない?…でも今日くらいはね~…私もまだ父だったので。
因みに私用の酢飯の作り方は私のHP、低蛋白米(蛋白1/12の米)を美味しく食べる、の目次から、「低蛋白米で海苔巻」をクリックするとそこで紹介していますが、海苔巻にくるむ具材に塩分を多く含む場合は、それを考慮し酢飯からその分の塩分を減らします。
最近は、酢飯には塩を全く加えず、具材に塩分をまわすようにしていますが、そのほうが使用できる具材の種類も広がり、食べた感じはこちらの方が味にメリハリが出ます。